ハンドルを回すと音がする
iQはヨーロッパ市場で売るために作られたいわゆるマイクロカーで、全長は軽自動車より短いが全幅が広いので日本では登録車扱いとなり税制面で不利あることからほとんど売れていません。
その売れていない中でも集中して起こるトラブルというものが結構たくさんあります。
その中のひとつがステアリングホイールを回してステアリング操作をするとフロント周りから結構耳に付くぐらいの大きな音でシャーシャーという音が聞こえてくるというものです。
この音の原因は電動式パワーステアリング機構につけられている電動モーターの音です。
従来の油圧式パワーステアリング機構に代わって現在の主流となっている電動式パワーステアリング機構、エンジン回転に依存することなく、独立した電気系の制御方法をとるため、パワーロスが少なく低燃費に貢献、きめ細かいアシスト制御を行うことができる、構造が単純になるということでよく使われるようになりました。
構造としては今まで油圧で動いていたアシスト用のギヤを電気モーターに置き換えるだけパワーアシストしたい方向にしたい分だけ電気モーターを回すだけで最適なアシストをすることができます。
位置的にフロントアクスルの部分につけられ、更にiQの場合はドライバーの位置からフロントアクスルが近いこともあって、正常でもきっと電動式パワーステアリングの電気モーターの音が聞こえやすいかもしれませんが、トラブルが出ている時の音というのはそのような生易しいものではなく、歩道を歩く歩行者が振り返ってみるぐらいの意外と耳に付く音となります。
この音の原因は電気モーターが劣化によってシャフトが固着気味になっている時やシャフトを支える部分の偏摩耗によってシャフトがグラグラと動いている時に出ます。
修理としてはこの電気モーターを交換して・・・ということになりません。
実はこの電気モーターを含めて、パワーステアリングモーターアッセンブリーということでパワーステアリングのコントロールユニットも同時に交換することになりますので、修理費用の部品代としてもだいたい15万円ぐらいかかってしまいます。
もちろん3万円ぐらいの工賃もかかりますので、新品部品を使って直すとなるとだいたい20万円ぐらいは覚悟しておかなければなりません。
ただ、新車保証期間内であれば当然のごとく、すべて無料になりますが、面白いことにこういったトラブルというのはだいたいが保証期間が切れたとたん出るもので、有償修理になることが多くなりがちです。
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1NR-FE型の弊害1
iQには1リッターエンジンモデルと1.3リッターエンジンモデルが用意されていますが、その中で1.3リッターエンジンモデルに関してはエンジンにまつわるトラブルがいろいろと出ています。
1.3リッターエンジンモデルに搭載されているエンジンはトヨタのコンパクトカーで主力エンジンとして用いられている1NR-FE型エンジンです。
このエンジンは設計が悪く、特にピストンリング周りの出来が悪いことから、低回転域を多用し短時間でエンジンを止めてしまうような走りを繰り返しているとオイルの劣化がすすむとピストンリングのオイルリングが機能しなくなり、シリンダー内壁に大量のエンジンオイルを残すことになり、それが混合気と同時に燃焼されることで白煙をまき散らすのと同時にオイルの燃えカスであるカーボンをエンジン内部のいたるところにばらまくことになります。
いわゆるオイル上りというものです。
発生したカーボン類、いわゆるスラッジは燃焼室内、ピストン、シリンダー内壁、排気ポート、排気バルブ以外にも吹き返しによって吸気ポートにまで至ることがあり、吸気ポート内や吸気バルブにまで付着することになります。
もちろんあちこち付着してスラッジはエンジンオイルによって洗い流される形となりますので、エンジンオイルの汚れもひどくなり、シリンダー周りだけでなく、エンジンオイルフィルターやオイルパンなどといった他のエンジンオイル系統もかなり汚すことになります。
これらのことでよく出る症状のひとつが燃焼室とピストンがぶつかることによって発生する異音です。
これは燃焼室内に蓄積していったスラッジの塊が同じくピストンの上部に蓄積していったスラッジの塊にぶつかってしまうために起こるものでひどいものになるとバルブを曲げてしまう場合もあるようです。
音としては軽いタペット音のようなものから始まりますので最初は意外と気が付かないかと思いますがその音がだんだん大きくなってくると耳障りな音に聞こえてきますので、そうなったら完璧にエンジン内部がスラッジだらけになっていると思っていいでしょう。
修理としてはピストン、ピストンリング、オイルノズルを対策品に交換し、ECUプログラムも対策品にあったものに書き換えとなります。
費用はサービスキャンペーンと同じ扱いとなりますので無償で行われます。
1NR-FE型の弊害2
1NR-FE型エンジンを搭載してことですでにトラブル予備軍となっているiQ、スラッジの塊による異音の発生の他に目立って出ているのが、EGRの故障によるエンジン不調です。
最近の車はほぼすべてのモデルにおいてEGR機能というものが付けられています。
これは排気ガス規制に対応させるために開発された排気ガス清浄化技術なのですが、簡単に言えば排気ガスをもう一度燃やしましょうというものです。
エンジンで燃焼された混合気はその後、排気ガスとして大気に放出されますが、その排気ガスの中には燃焼室内で燃焼されずのガソリンとして残ってしまう場合があります。
未燃焼ガスとか生ガスなどといわれるものですが、実はこの生ガスは人体に悪い影響をもたらすものであることがわかっていて排気ガス規制でも厳しく制限されているものですので、これを何とかしなければ・・・ということになったわけです。
そこで考えられたのがEGRという技術で排気ガスの一部をもう一度吸気系に送り、新しい混合気と一緒にもう一度燃やしてしまおうというものを考えついたのでした。
もちろん排気ガスを吸気側の戻すことは、余計に不完全燃焼を引き起こすことになり、エンジンにとってはあまり良くないことですので、排気系につけられたEGRバルブというもので吸気側に戻す排気ガスの量を調整して、エンジンに悪影響が出ない程度の割合で混ぜるようにしています。
構造的にこのEGR関連の部品はすべて排気ガスが通る排気系につけられているわけですので、この1NR-FE型エンジンのようにオイル上りや燃焼効率の悪さから作られた大量のスラッジが混じった排気ガスが流れてきたとしたらどうでしょうか。
そうです、EGRバルブから排気ガスが流れる部分がつまっていってしまうのです。
そうなると正常なEGR制御をすることができなくなり、不安定なアイドリング、エンスト、加速不良、息継ぎといったようなエンジンの不調を起こしてしまいます。
このトラブルの修理としては、排気ガスの経路にあるEGRバルブ、EGR系の配管、そしてキャタライザーもすべて交換することになります。
通常の修理であれば、それこそ20万円以上の修理費用が掛かってしまうものですが、これもサービスキャンペーンとして公式発表されているものですので、修理費用は無料です。
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