ハードトップの開閉不良
レクサス店のSCはソアラの転用モデルで、当時でも珍しかったオープンモデルとなります。
2代目モデルは重量を軽減するために材質をアルミとしたハードトップが採用されており、その開閉を左右につけられる2つの電気モーターで行うようになっています。
シートに座ったままでボタン一つで開閉することができ、急な雨などにも対応できるようになっているのですが、やはり電動式というのは構造が複雑になるようでいろいろなトラブルが出ています。
その1つがスイッチを押しても開閉できなかったり、突然途中で止まってしまったりという開閉動作が不安定になることです。
だいたいこういったトラブルが出る時はSCだけでなく他の電動開閉式のルーフを持っているモデルであればよくある話で、例えば開閉用の電気モーターが焼き付いてしまったとか、折り畳み式ルーフのリンクが曲がってしまった、折れてしまった、オイル切れで固着してしまったとか、リレーやスイッチ、断線といって電気的なことから起こることが多いのですが、このSC場合はそういったことの他に非常に難解な原因があるようです。
症状としては先程のような不安定な動きで、それもその症状が出る時と出ない時がある、ただ出る時のパターンはわかっており、だいたいのものは気温が高い時、雨が降っている時です。
電動ルーフのトラブルが起こった時に疑われる場所をすべて点検しても何ら問題ない、念のため左右の電気モーターを交換しても出る時は出るようで、これまであった想定できる部分の故障ではないことがわかります。
ではどこがいけないのかというとそれは電動ルーフの開閉に関わる配線が一つに集まる部分です。
この部分は樹脂製のボックスで覆われているので、外から見たのではわかりませんが、この部分が高温になったり、湿度が高い状態になったりするとその中で接触不良を起こしたりショートを起こしたりするのです。
この部分で電気的な故障が起きているため、電動ルーフの動作が不安定になってしまったというわけです。
修理はこの配線ボックスを新しいものに交換、たぶん対策品に交換することで感知するようです。
この部分は基本的に新車保証に含まれる部分ですので5年以内であれば無償となりますが、クレーム処理という形になりますのですべての修理費用は無料になります。
ボディから異音とヨレ
2代目SCは最初からオープンモデルとして設計されている車ですので、通常であれば・・・通常であればですがオープンモデルとなることで失われるボディ剛性の弱さを補強すべく丈夫なシャシーやボディを採用しますが、SCはあのトヨタの車です。
最低限の強度と見た目、そしていかに安く作ることができるのかということを重要視している天下のトヨタですので、どう見ても台数的に売れないことがわかっている車にお金をかけて作るはずがありません。
初代のクローズドボディの時代でもボディ剛性の弱さからくる走行性能の悪化、耐久性、ボディの変形などが騒がれていたのにもかかわらず、オープンモデルとして作られるようになったとしてもボディ構造を重視するようなつくりにされるわけがありません。
トヨタがボディ剛性を軽視する理由は簡単、安く作ることができるからです。
早い話、鉄板の厚みを10ミリから5ミリにすれば、原材料費は半分になりますし、余計なサブフレームなどをつけなければそれだけ鉄を使わないで済むのです。
実際にもこのモデルのボディ剛性の弱さからくるトラブルが多く出ており、電動式ルーフの開閉動作に無理がかかると左右で動きが違うとか、まるでトランクの中で荷物が暴れているかのようなゴトゴトという音やギシギシという音が走るたびに聞こえてくるなどといった症状を示しています。
これは走行性能にも悪影響を与えており、ステアリングホイールを中立状態に保っていても右や左に曲がっていってしまうとか、右に曲がった時と左に曲がった時のフィーリングが違うといった違和感を得ることもあります。
この症状が出た場合は残念ながら手放すまで我慢してください、なぜなら直せないからです。
曲がってしまったフレームやボディを直す方法が全くないわけではありません。
鈑金屋さんに車を持ち込んでフレーム修正機で曲がったフレームを基準の位置に戻せばいいわけです。
ただ、もともとまともな剛性を持っていないわけですから直したとしてもまた曲がっていきますので直すだけ無駄です。
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※故障してもいいと言う方は時間の無駄なので絶対見ないでください。
パワーステアリングオイルの漏れ
これはSCだけではなく、兄弟車であるソアラでも出ているトラブルです。
症状としてはステアリングホイールを回すとフロント周りからシャーシャーという大きな音が聞こえてきて、ステアリングホイールが重たく感じるというものです。
これはパワーステアリング機構に使われているパワーステアリングオイルが少なくなった時に出る症状で、そのほとんどがどこかからパワーステアリングオイルが漏れてしまっていることによって引き起こされています。
SCが発売されていた当時はまだまだ油圧式のパワーステアリングがメインで、このモデルにもソアラにも電動式ではなく油圧式が使われています。
油圧式パワーステアリング機構はエンジンルーム内にあるパワーステアリングポンプをクランクシャフト回転によって回して油圧を発生させ、その油圧を油圧ホースを介してステアリングラックにあるギヤボックスに送ってそこで油圧をパワーアシストとして使うという構造になっています。
少なくともエンジンのベルトがかかっている部分からエンジン真下にあたるステアリングラックのギヤボックスまで油圧の配管をしなければならないのでそのホースなどが劣化や何かしらの外力によって傷つけられてしまってオイルが漏れだすことがあるわけです。
油圧式パワーステアリング機構にはそれ以外にももっといろいろなオイル経路がありますのでオイルが漏れる可能性はもっと高くなるといえます。
SCではこのパワーステアリングオイル経路のどこから漏れることが多いのかというと一番多いのがリザーバータンクからです。
リザーバータンクはパワーステアリングオイルを適切な量とすべく予備として溜めてあるタンクで金属製で出来ています。
しかし、このタンクの作りが悪く、底部の溶接から亀裂が入ることがあり、そこからパワーステアリングオイルがドボドボ漏れてきてしまうのです。
もちろん新しいうちはそういったことはありませんが、オイルの温度やエンジンルーム内の温度の上下によって、あるいは振動などによってそれなりの年式を重ねることで亀裂が入ってしまいます。
修理はこのリザーバータンクを交換することで行います。
新品部品を使ってレクサス店で直すとだいたい4万円ぐらい、ソアラを扱うトヨペットなどで直すと2万円ぐらいの費用が掛かります。
それからもう1つよく漏れる場所がエンジンルーム内にあるパワーステアリングポンプです。
この部分はエンジンに熱や振動をまともに受ける形となるためどうしても傷みやすくなってしまいます。
漏れる場所はパワーステアリングポンプと油圧ホースが結合されている部分からで、ほとんど場合はパワーステアリングオイルと油圧ホースを同時に交換することで直します。
こちらの方法をとる場合は、部品代として新品が5万円ぐらい、中古品が15000円ぐらい、工賃はレクサス店で3万円ぐらい、一般の整備工場で2万円ぐらいの費用が掛かります。
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