D-4Sエンジンのトラブル
BRZはトヨタの86と全く同じ車で、知名度としてはトヨタの86の方が上ですが、この車の部品はすべてスバル製で技術も一部を除いてすべてスバルのものです。 ですから、この車はトヨタとスバルの共同開発で作られたスポーツモデルではなく、ほぼスバルの車でトヨタはOEM供給を受けているといった方が正しく、86よりもBRZの方が本家というべきかと思います。
BRZは共同開発ながら車体の100%はスバルの部品となりますが、技術的には99%にとどまります。
実はその残りの1%がトヨタの直噴技術であるD-4Sなのですが、スバルのBRZにとってはとんでもないものをつけられてしまったといった感じです。
BRZにはスポーツモデルらしからぬ2リッターのNAエンジンが採用されていますが、それは昨今の低燃費ブームの影響として捉え、勇気にないトヨタ主導で作られた車であると思えば納得できますが、それだけでなくそのエンジンにはD-4Sというものが採用されています。
D-4Sはいわゆる直噴技術というもので、過去に開発した直噴技術、D-4があまりにも不具合が多いことからそれを少しでも軽減させるためにと作ったのがこの技術で、D-4で大きな欠点となったカーボンの発生を抑えるために直噴だけでなく、一般的な燃料噴射方法であるポート内噴射機能も持たせた「半直噴技術」という形で作りなおしたものです。
直噴方式は燃焼室内に液体のガソリンを噴射することで燃焼室内の温度を下げることができ、更にシリンダー内でガソリンが気化することによる気化熱で温度を下げることができるため、ノッキングがおこりにくい環境を作り出すことができます。
ノッキングが起こりにくいということは圧縮比を高めることができるということ、圧縮比を高めることができるということは強い燃料力を得ることができるということで、同じエネルギーを得るのであってもポート内分噴射だけのものより少ない燃料で済むという低燃費的なメリットがあります。
しかし、液体のガソリンを噴射してから燃焼されるまでの時間が極端に短いため、気化して混合気となる前には液体状態で無理やり燃焼されてしまう部分もあるため、カーボンが大量発生することになります。
D-4Sはカーボンの大量発生抑えるためのひとつの技術であって、直噴とポート内噴射を切り替えることで、あるいは併用することで出来るだけカーボンの発生を抑えようとしているわけです。
ただ、残念ながらそれは理論上の話で現実ではD-4Sになっても依然としてカーボンが大量に発生しており、FA20型エンジンを搭載したこのBRZにおいてもカーボンの大量発生が原因となるエンジントラブルや性能の低下を引き起こしています。
主な原因は排気ガスが多少なりとも吸気側に戻ってしまうこととEGRで吸気側にカーボンまみれの排気ガスが送られてしまうことで起こります。
吸気ポートの内側や吸気バルブ、サージタンク、インテークパイプ、スロットルボディに内側にたくさんのカーボンが付着してしまい積層状態となることから吸気効率が極端に悪くなり、アイドリングの不安定、加速時の息継ぎ、突然のエンスト、燃費の悪化、パワーダウンなどを引き起こします。
特にスポーツモデルにおいて重要なエンジンパワー、これがパワーダウンしてしまうのは致命的です。 スペック的には207psとなっていますが、これはあてにならないトヨタの公称データですので実馬力で見ますと、新車状態でだいたい170psぐらいしか出ていないものが、カーボンたっぷりの数千キロ走行車となるとわずか150psしか出ていないそうです。
修理ですが一時的には修理はできます。 点滴式の添加剤でエンジン内部をきれいにしたり、シリンダーヘッドを開けて手動でクリーニングすれば、とりあえずは解決することでしょう。
しかし、根本的なカーボンの大量発生というものに対してはそれがこのエンジンの仕様ですので、何も打つ手はありません。
ちなみにカーボン除去にかかる費用ですが、点滴式の添加剤で行う場合は5,000円ぐらいでできますが、シリンダーヘッドを開けてクリーニングとなると水平対向エンジンの整備性の悪さから10万円から15万円ぐらいの費用が掛かってしまいます。
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ボディの異音
スバルの車は昔からボディやフレームがとても頑丈で、作りも複雑にサブフレームや補強材などが入れられていることから鈑金屋が修理を嫌がるなどといった都市伝説的な話がありますが、同じスバル製の車でもこのBRZだけはそうではないようです。
この車を開発し、設計し、部品調達し、それを使って1台の車を作ったのはスバル以外のどこでもないのですが、この車を作ろうと企画したのはトヨタです。
トヨタはスバルの大株主でダイハツのように子会社ではありませんが、それに近い位置にいます。
早い話、トヨタの言いなりであって、この車を作る時もスバル風の車作りではなく、トヨタの意向が強く反映されているはずです。
それが何かといったら1つがハイブリッドモデルをたくさん出していてエコカーのイメージを払しょくしないような低燃費性能、これは直噴のNAエンジンの採用でクリアしています。
そしてもう1つが生産コストの削減です。
これもある意味では、86とBRZの車の生産に関わるものをスバルの丸投げしたことでトヨタにとってはコスト削減ができていますが、更に利益を高めるためにスバルが好むほどのボディ剛性は必要ないということでボディに使われている鋼材の質を落とし、厚みも薄くして使用量を減らして安く上げる方向にもっていったわけです。
その結果がスポーツモデルとしてはあるまじきボディ剛性の低さです。
ボディ全体がサスペンションとなることで乗り心地やロードホールディング性が高いように思えますが、そのたびにボディは捻じれ、剛性が低いため元の位置に戻る前にまたねじられてしまうのでボディやフレーム全体がねじれっぱなしになってしまうことで走るたびにゴトゴトと異音が出たり、まっすぐ走れなかったり、ステアリングホイールが取られるようになってしまうのです。
この症状に対する修理方法はありません。 あえて言うのであれば、鈑金屋さんでフレーム修正機にかけてもらうしかないでしょう。
ただし、フレーム修正機に一度でもかけるとその車は事故を起こしていなくても修復歴車になります。
ショックアブソーバーからのオイル漏れ
これはBRZの初期型でよくあるトラブルだそうです。
症状はショックアブソーバーからのオイル漏れなのですがどういうわけかフロントサスペンションのショックアブソーバーではなく、ほとんどがリヤサスペンションのショックアブソーバーなのです。
BRZはフロントはストラット、リヤはダブルウィッシュボーンといった形で前後で違い形式のサスペンションが採用されていますのでショックアブソーバーの作りも前後で全く違うのはうなずけますが、それにしても大衆車でも最近はあまり聞かなくなったショックアブソーバーのオイル漏れが出てしまうのもトヨタ流のコスト削減策をスバルで忠実に行ったからなのでしょうか。
ショックアブソーバーはコイルスプリングの伸び縮みを制限する減衰力という力を生み出すもので、中にオイルが入れられています。
このオイルがショックアブソーバーが伸び縮みする時に動くピストンに開けられた細い穴を通る際に抵抗が生まれショックアブソーバーの動きを抑制する形になるのが減衰力です。
なので、ショックアブソーバー内のオイルには動くたびに圧力がかかることになり、オイルが外に出ようとする力に代わります。
それをおさえているのがオイルシールであって、アウターチューブからシャフトが出ているところにつけられています。
BRZのショックアブソーバーのオイル漏れはこのオイルシールの作りが悪く耐久性に乏しいことから起こります。
保証範囲内ですので新車保証が効くのであれば無償で交換となりますが、そうでない場合は一本当たり13000円ぐらいの部品代と交換工賃15000円ぐらいが掛かります。
とは言え、何度も続く故障や高額な修理費は精神衛生上良くありませんので買い替えという選択も考えて行くべきです。。。
車の買い替えや処分を考える時は、あらかじめ自車の査定を忘れずに👇👇👇
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