エンジンブロックに亀裂が入る
これは三菱のデリカD:2とそのOEM元モデルのスズキのソリオの MB36S、MB46Sに出されているサービスキャンペーンです。
サービスキャンペーンですので該当モデルすべてが必ず整備を受けなければならないということではなく、その症状が出る可能性がある、出たらその部分の修理を無償で行いますよ・・・といったもののですので必ずこうなるということではありません。
症状としてはエンジンブロックの一部、ちょうどエンジンオイルの量をチェックするためにつけられているオイルレベルゲージが刺さっている部分のまわりに亀裂が生じ、そこから内部にあるエンジンオイルが漏れてくるといったものです。
亀裂が入る部分はクランクケースではなく、その上にのせられた形になっているシリンダーブロックで、どうやらそのシリンダーブロックを作る時に鋳造が悪かったようでシリンダーブロックの外側とオイルレベルゲージを差し込むために開けられた穴との間の厚みが薄くなっているものが、販売されたデリカD:2やソリオのエンジンに付けられているようで、エンジンの振動や熱による膨張や収縮などによって肉が薄くなっている部分に亀裂が入ってしまうようです。
鋳造というのは砂型の中に鉄やアルミな度を溶かしたものを流し込んで作る方法で砂型の形状次第でいいものも、悪いものも出来上がってしまいます。
鋳造で作られたエンジンブロックに切削加工や研磨加工など加えて1つの部品としてエンジンに組み込むわけですが、そのさいに必ずチェックを受けて、使用に耐えられるものなのかということを確認してから部品として扱うようになっているのに、それをどういうわけかすり抜けてしまったものがあったようなのです。
この部分に亀裂が入ると当然ながらエンジンオイルがどんどん漏れてきて、乗る前の仕業前点検でエンジンオイルがきちんと入っていたとしても、だいぶ減ってしまうことでしょう。
エンジンオイルが減りすぎてしまったり、無くなってしまったりすればエンジンは焼き付き、速エンジンブローとなってしまいます。
このサービスキャンペーンではエンジンブロックに亀裂やエンジンオイル漏れなどが見つかったら行われるもので、エンジンをそっくり新しいものに交換します。
エンジン載せ替えとなったらコンパクトカークラスのものでもざっと100万円ぐらいの費用が掛かってしまうものですが、サービスキャンペーンですので一切お金をかけることなく、エンジンを新しくすることができるので、大きな被害がまだ出ていない状態であれば、ある意味でラッキーかもしれません。
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ベルトが外れるリコール
これはMB15Sに出されているリコールです。
リコールの内容としてはエンジンにつけられているVベルトが突然外れてしまうというものです。
MB15S型に搭載されているK12B型エンジンには2つのVベルトが付けられています。
一本は、クランクプーリーとウォーターポンププーリー、そしてオルタネータープーリーに3つにかかっているもの、そしてもう一本はクランクプーリーとエアコンコンプレッサープーリーの間位にかかっているものです。
そして今回のリコールの対象となっているのは1本目のウォーターポンププーリーとオルタネータープーリーにかかっている方のVベルトです。
そうなる原因はウォーターポンプを回すためにつけられているウォーターポンププーリーをウォーターポンプに固定している固定ボルトが適切な締め付けトルクで締め付けられていないことからエンジンの振動やプーリーの回転などによってそのボルトが緩んでしまうというもので、初期段階ではウォーターポンププーリーがガタつくことで起こる細かい振動やガタガタと異音の発生ということになりますが、それがどんどん進行していくと振動も異音も大きくなり、プーリーのがたがおおきくなることでVベルトが外れてしまい、ウォーターポンプの機能を失うだけでなく、同じVベルトで駆動されているオルタネータープーリーの回転も止まってしまいます。
ウォーターポンプが止まってしまうということはエンジン内部やラジエーターなどの冷却水経路の流れが無くなってしまうということでエンジンの冷却がうまくいかなくなってしまい、オーバーヒートを起こします。
オーバーヒートを起こしてしまうとエンジンのオーバーホールやひどい時ですとエンジンの乗せ換えをしなければなりません。
それからオルタネータープーリーの回転が止まってしまうということは発電が止まってしまうため、バッテリーに残された電力だけで走ることになってしまうため、すぐにバッテリーが上がってしまい、エンジンなども全て機能を失ってしまいます。
それから派手にベルトが外れて暴れてしまった場合はすぐ隣にかけられているエアコンコンプレッサープーリーを回すためのベルトにも危害を加えてしまい、ボロボロにさせてしまったり、外してしまったりすることもあります。
このVベルトが外れてしまえば当然のことながら冷房機能も使えなくなります。
対策整備としてはウォーターポンププーリーを固定しているボルトのゆるみを点検し、緩んでいる場合はウォーターポンプとウォーターポンププーリー、Vベルトの交換を行います。
費用はもちろん無償です。
フロントグリルに水滴がつく
これはMB15S型の初期モデルで頻発しているトラブルです。
症状としては立体的なデザインが取られていて中空となっているフロントグリルの内側が曇ったり、水滴がついたりしてしまうというもので、特に洗車をした後やゲリラ豪雨などの集中的にたくさんの雨が降っている中を走ったりした後などによく起こるそうです。
この部分は中に照明が入っているわけではありませんがデザイン的に中に密閉されて空間を持つものとして作られていて、いわばヘッドライトやリヤコンビネーションランプのレンズと同じように基本的には内部に水分が入ってしまうことがない部分なのですが、大量の水がフロントグリルにかかるとどこからか内部に水分が侵入し透明な樹脂の内側にくもりや水滴などがついてしまいます。
侵入経路はほとんどの場合、透明のパーツと裏側にあたる土台となる樹脂パーツの間のコーキングからで、もともとの作りが悪かったり、経年劣化で隙間が空いてしまったり、温度や圧力の変化で変形してしまうことから起こってしまうようです。
このトラブルは結構多いようでOEM元のスズキも三菱も既知のトラブルとして理解しており、対策品が出ています。
対策品に交換すればほとんどの場合、二度と曇ったり、水滴がついたりすることはないようですが、稀に対策品でも全く同じ症状を出す場合もあるようです。
どうやらもともとの設計が悪かったようです。
この部品を交換するには3万円ぐらいの費用が掛かりますが、たいがいの場合クレーム処理ということで無償で対策品の交換されることになります。
もし対策品に交換しても安心できないということであれば初期型用のフロントグリルではなく、デザインも作りも全く違う後期型のものやドレスアップパーツとして販売されている社外品に付け替えるという手もあります。
これらの手段は当然ながら実費となり、後期型への交換で35000円ぐらい、社外品で5万円ぐらいに費用が掛かります。
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