マツダ 車種別故障事例

RX-8でよくある故障、持病と修理費用

エンジンブロー

RX-8は世界で唯一のロータリーエンジンを搭載したスポーツモデルですが、やはりロータリーエンジンならではのエンジントラブルが多発しています。

その1つといいますか、究極の結末となる事例がこれです。

症状としては3速で軽く加速してそれなりにスピードに乗った瞬間、突然エンジンが止まってしまい、メーター内はエンジンが止まったことを示すかのようにイグニッションを入れた時と同じような警告灯のオンパレードなってしまったというものです。

その後、惰性で路肩に車を止めて、エンジン始動を試みたのですがイグニッションの電源は入るものの、スターターモーターを回そうとしても軽く「グゥ」というだけで一向にまわる気配はありませんし、スターターモーターを回そうとするとメーター内の全ての警告灯やバックライトなどがすべて消えてしまいます。

この症状からすると、バッテリー上がりやスターターモーターの故障といった電気系のトラブルが考えられますが、イグニッションやアクセサリー電源は全く問題なく使えており、スターターモーターを回そうとした時だけ、何やらすべての電気をスターターモーターに持っていかれているかのような状態になるのが気になります。

ということはスターターモーターに多大なる負荷がかかっているということも想定できます。

スターターモーターはエンジンをクランキングするためにつけられている電気モーターで、エンジンを始動する時だけに飛び出してくるピニオンギヤがフライホイールの外側につけられているリングギヤに噛み合った状態でまわり、エンジンに初爆を与えるためのクランキングを行います。

この辺はロータリーエンジンでもレシプロエンジンと全く同じです。

こういった形で付けられているスターターモーターで、スターターモーターに多大なる負荷がかかるということは考えられません、なぜならスターターモーターが回そうとしているエキセントリックシャフトは多少の抵抗はあるものの、常に回るような形になっているからです。

常に回る状態でつけられているエキセントリックシャフトを回そうとするスターターモーターが止まってしまうほどの負荷がかかるということは・・・そうです、エキセントリックシャフトが回らない状態になっているということ、すなわちエンジンが焼き付いている、エンジンブローをしているということになります。

ロータリーエンジンはレスプロエンジンと違って発熱量が多く、更に冷却系が特殊でエキセントリックシャフトなどのローターの中央部分はエンジンオイルだけで冷却し、ローターハウジングなど周りは冷却水だけで冷却するという構造を持っていて、いささか熱管理が難しい点があります。

エンジンオイルの質が悪かったり、交換サイクルが長かったり、冷却水の量が少なくなっていたりするとエンジンの温度が上がり、簡単に焼き付きを起こしてしまいます。

本来、ロータリーエンジンもレスプロエンジンと同じぐらいの耐久性を持っているものですが、熱管理が難しいこととオーナーのメンテナンス不足傾向が高いことからレシプロエンジンよりも短命に終わることが多いようです。

エンジンが焼き付いている状態はすぐにわかります。

エキセントリックシャフトにつけられているプーリーにスパナやボックスレンチなどを掛けて回してみるといいでしょう。

少しでも回る時は焼き付きは起こっていないので他の原因を探りますが、このトラブルのようにエンジンが焼き付いている場合はびくともしません。

ここまで来たら修理方法としてあるのはエンジンの載せ替えかオーバーホールです。

ひどい場合ですとオーバーホールをしても無駄ということもありますが、一応選択肢として捉えた方がいいでしょう。

修理費用もいろいろでオーバーホールをしたとすると30万円から40万円ぐらい、リビルトエンジンを使用した載せ替えでエンジン本体が45万円ぐらい、工賃その他もろもろで15万円ぐらいの費用が掛かります。

 

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クラッチが切れなくなる

RX-8はスポーツモデルですのでオートマチックトランスミッションだけでなく、マニュアルトランスミッションも用意されています。

マニュアルトランスミッションとなればドライバーが操作するクラッチが必要なのですが、そのクラッチに定番ともいえるトラブルが出ているようです。

このトラブルはサーキットや峠などでスポーツ走行をした時や真夏の炎天下の下で渋滞にはまった時などによく起こるもので、クラッチが切れる位置がだんだんずれていって、しまいにはクラッチが完全に切れなくなってしまうというものです。

クラッチペダルの操作は意外と繊細であって、ちょっとでもクラッチが切れる位置や半クラッチになる位置がずれただけでもガクガクしたり、やたらと高いエンジン回転数でつないでしまって無駄にクラッチを減らしてしまうことになります。

それが短時間のうちにコロコロと位置が変わってしまうのでは運転もしにくくなりますし、車にとってもいいことはありません。

こうなる原因は実はこの車のもともとの設計が悪いことです。

RX-8のクラッチはクラッチオイルの油圧で作動する油圧式が採用されています。

構造としてはブレーキラインと同じでペダルを踏むことでマスターシリンダーが油圧を発生、その油圧でクラッチプレートを動かすという形になっているのですが、クラッチマスターシリンダーからクラッチまでひかれたオイルラインがちょうどエンジンのすぐわきを通るようになっていて、そのエンジンの熱によってクラッチのオイルラインの中でオイルが沸騰するような形となり、内部で気泡が出てしまうのです。

オイルラインの中に空気が入ってしまうということは油圧が正常に伝わらないということでそれによっていくらクラッチペダルを踏んでマスターシリンダーで油圧を作ってもオイルラインの中の空気によってその圧力が吸収されてしまい、油圧が弱くなったり、まったくなくなってしまったりすることでクラッチの動きが悪くなっている、または全くできないといった状態になってしまいます。

この症状は構造的な欠陥であるためどうすることもできません。

とりあえずはクラッチのオイルラインのエア抜きをして、エア噛みのない状態にするしかありません。

そして予防策としてオイルラインに断熱材を巻いたり、社外品として販売されている取り回しを変更することができるオイルラインに付け替えということをするのもいいかと思います。

修理ということではありませんが、クラッチオイルラインのエア抜き作業として5000円ぐらいに費用が掛かります。

 

触媒が壊れる

これもRX-8ではよく聞くトラブルで、触媒が壊れてしまうというものです。

日本の保安基準では排気ガスの清浄化のために触媒の取り付けが義務付けられています。

触媒とは科学的に排気ガス内の有害物質を無害に近い状態にさせるものでエキゾーストマニホールドとマフラー出口の間につけられています。

内部構造は蜂の巣のような形のハニカム状網目のようなものが付けられていて、その隙間を排気ガスが通ることで有害物質が少なくなります。

この部分はエンジンがかかっていれば常に排気ガスが流れていることになりますのでかなり高温状態となり、更にロータリーエンジン特有の排気温度の高さもあるためより一層温度が高くなります。

そして取り付けられている位置が非常に低いことからノーマル状態でも段差などに触媒をヒットさせてしまうことがあり、その時の衝撃と高い温度によって、内部のセラミック成分がはげ落ち、それが熱によって塊となることで触媒内部の網目を攻撃してしまったり、つきやぶってしまったりするのです。

こうなってしまうと排気抵抗が極端に増大するため、エンジンのまわりが悪くなったり、パワーダウンを感じたり、マフラーから白い粉を吹くようになってしまいます。

この状態にまでなってしまったら触媒を交換するしか手はありません。

純正触媒はモデルや年式にあわせて4種類ほどあるようで、安いもので65000円ぐらい、高いもので15万円ぐらいします。

これに交換工賃として3000円ぐらいの金額がプラスになります。


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