修理と買い替えのQ&A

法定12ヶ月点検は必ず受けないと実はヤバい?その理由と必要性

 

ディーラーからハガキ、どうせまた発表会とかフェアの宣伝でしょ?・・・などと思いながら読んでみたら「法定12ヶ月点検のお知らせ」とな・・・法定12ヶ月点検?・・・「法定」と付くぐらいだから必ず受けなければいけないの?っと思うこともあるかと思います。

ディーラーがハガキを送ってくるぐらいですから、当然のごとく費用が掛かる、しかし車検以外で何かを強制されるという意識はなかったのに本当に受けなければならないのか?受けるべきなのか?
そんなところを見ていきましょう。

受けるか受けないか、それを決める前にそもそも法定12ヶ月点検なんだ?というところからいってみましょう。

法定12ヶ月点検とは、道路運送車両法という法律で定められた定期点検整備で、一般的な乗用車では1年毎に受けることが義務付けられているもので、ごく一般的な車の使い方をすることを想定して、不具合が出やすいところ故障しやすいところ、摩耗が激しいところを「1年に1回はチェックしておこうよ」的な感じで行う定期点検です。

点検項目は26個、それらを1つずつチェックしていって最終的には点検記録簿に記入していくという形で行います。

法定12ヶ月点検を受けた証しは、その点検記録簿とフロントガラスの左端あたりに貼られている点検整備済ステッカーだけで、これを受けたからといって車検みたいに国に何かを報告するとか申請をするということはありません。

法定12ヶ月点検を受けることができる期限は前回の法定12ヶ月点検、あるいは車検時に行う24カ月点検から1年以内となっていますが、現実的にはそれを過ぎたからといって受けることができないということはなく、あくまでも「決まり」としての期限と理化しておくべきでしょう。

法定12ヶ月点検の点検項目

法定12ヶ月点検では以下の26項目の点検を行います。

■ステアリング周り
・パワーステアリング装置・・・取り付けのゆるみ、損傷、油汚れ及び油量

■ブレーキ周り
・ブレーキペダル・・・遊び及び踏み込んだときの床板とのすき間・ブレーキのきき具合
・パーキングブレーキ・・・引きしろ(ふみしろ)・パーキングブレーキのきき具合
・ブレーキホースパイプ・・・漏れ、損傷、取り付け状態
・マスターシリンダー、ホイールシリンダー、ディスクキャリパー・・・液漏れ
・ブレーキディスク(ブレーキローター)、ブレーキパッド・・・ブレーキローターとブレーキパッドのすき間、ブレーキパッドの摩耗
・ブレーキドラム、ブレーキシュー・・・ドラムとライニングのすき間、シューの摺動部分とライニングの摩耗

■タイヤ、足周り
・タイヤ・・・タイヤの状態(空気圧、溝の深さ、偏磨耗など)
・ホイール・・・ホイールナットとスタッドボルトのゆるみ

■動力伝達装置
・クラッチ・・・クラッチペダルの遊び、切れたときの床板とのすき間
・プロペラシャフト、ドライブシャフト・・・連結部のゆるみ
・トランスミッション、トランスファーなど・・・オイルの漏れ、量

■電気装置
・点火装置・・・点火時期、ディストリビュータのキャップ(ダイレクトイグニッションコイル)の状態、スパークプラグの状態
・バッテリー、電気配線・・・バッテリーターミナル部のゆるみ、腐食

■エンジン回り
・エンジン本体(排気ガス、測定等)・・・排気ガスの状態(排気ガスの色/CO、HCの濃度)、エアクリーナーエレメントの状態(汚れ、詰まり、損傷)
・エンジンオイル・・・オイルの漏れ

■冷却装置
・冷却水の漏れ
・ファンベルトのゆるみ、損傷

■排気ガス防止装置
・エキゾーストパイプ、マフラー・・・取り付けのゆるみ、損傷

こうしてみると比較的簡単な点検項目ばかりのように見えますが、本格的にやるとなるとジャッキアップしたりしなければなりませんので、ちょっと手間が掛かりそうです。

それから排気ガスの濃度もチェックしなくてはならないので専用器具が必要となります。

 

法定12ヶ月点検は義務?もし受けなかったら?

 

皆さんが一番気になる部分だと思いますが、法定12ヶ月点検を受けなかったらどうなるのかということですが答えは・・・どうにもなりません。

法的には義務ですので受けなければならないものなのですが、義務を遂行しなかったことに対する罰則が一切ないので、「まったく御咎めなし」ということになります。

しかし、「義務なのですから刑事的にも民事的にも法的な責任を負わなくてすんでも他に何かあるのでは?」・・・と思う方もいるかと思いますが、他のどんなことにおいてもこのことに関してはまったくなにもありません。

あまり大きな声では言えませんが、法定12ヶ月点検のハガキがディーラーから送られてきてもそのままスルーしてゴミ箱にポイッ!としてもいいということです。

点検整備済ステッカーは貼らなくてもいい

法定12ヶ月点検を受けたか、受けていないかを客観的に知ることができるのが点検整備済ステッカー、整備振興会の加盟している整備工場や修理工場で定期点検を受けた車のみだけに貼られるステッカーのことですが、このステッカーは貼っていなくても機嫌が切れていたとしてもまったく違法性はなく、これによって検挙されるということもありません。

しかし、この点検整備済みステッカーの取り扱いを間違えると違反となる場合があります。

点検整備済みステッカーは、本来、車検ステッカーが意外のものを貼っていけないフロントガラスに貼り付けられているもので、そもそも違反です。

しかし、定期点検を促す意味合いから特別に有効な点検整備済みステッカーだけは貼ることが許されています。

ここで注意していただきたいのが「有効な」というところで、これは法定12ヶ月点検を受ける期間が満了していない整備済みステッカーのみが該当するということです。

逆にいえば法定12ヶ月点検を受けておらず、整備済みステッカーの有効期限が過ぎているものは、単なるステッカーの扱いがされるということで、特例が該当されないのでそれだけで整備不良となります。

本来は期限を過ぎた場合は剥がすべきなのですが、現実的にはその辺はあいまいにされていて、検挙されることはありません。

ただ、それ自体は違反行為であるということだけ知っておきましょう。

ちなみにこの点検整備済みステッカーですが、ステッカーのみを購入することはできません。

どうしても欲しい場合はどこかの整備工場などで法定12ヶ月点検を受けるしかないでしょう。

12ヶ月点検に出したら ステッカー張って返しやがった。張るなよって 口がすっぱくなるくらい言っていたのに……。しゃぁないから 自分でシンナー使って剥したよ。仕事一つ増やしやがって pic.twitter.com/vgkPTOm0LA

— 僕 マフィ (@1058hiroki) 2018年9月18日

 

法定12ヶ月点検を受けていると高く売れる?

基本的に法的な拘束を受けない法定12ヶ月点検ですが、巷では法定12ヶ月点検を受けていないことで、ディーラーの下取り査定や買取店の買取査定に影響が出るなどといわれています。

確かに法定12ヶ月点検をきちんと受けていることで「車を大事にしている」アピール、「故障していない」アピールができますが、はっきり言って査定に対して影響はないといっていいでしょう。

極端な言い方をすれば、法定12ヶ月点検を受けていてもいなくても査定額は同じということです。

ではどうしてそういった噂が立ったのかといいますと、それは質のいい車を買い取りたいと思っている買取店や中古車市場の策略、そしてディーラーや整備工場など法定12ヶ月点検をすることで金銭的なメリットが出る業者の働きかけと思われます。

インターネット上にある「自動車の高額買取」をうたう情報サイトで「点検を受けた方が査定額が高くなる」とか、「点検記録簿がきちんと記入されている方が査定額がよくなる」などと書かれる場合もありますが、それもたいした効果はありません。

結論から言えば、「査定額を高くするために法定12ヶ月点検を受ける」は無駄なことです。

 

車の買い替えや処分を考える時は、あらかじめ自車の査定を忘れずに👇👇👇

法定12ヶ月点検を受ける場所

それでもたまにはきちんとチェックしておきたいという方もいらっしゃると思いますので、法定12ヶ月点検をどこで受けることができるのか、どれくらいの費用が掛かるのかを見ていきましょう。

●ディーラー

法定12ヶ月点検を受けるのに一番安心して任すことができるのが自動車メーカーのディーラーでしょう。

本来の法定12ヶ月点検の点検項目以外にも自動車メーカーならではの、その車ならではの専門的な見地からも点検を行ってくれますので、信頼度はかなり高いといっていいでしょう。
・点検の信頼性:高い
・点検にかかる時間:半日~1日程度
・点検費用(修理費用除く):1万円~5万円ぐらい


●整備工場・修理工場

ディーラーほどではありませんがそこそこ安心できるのが整備工場とか修理工場などと呼ばれるところです。

ディーラーのようにその車ならではの点検はソフト的にもハード的にもできませんが、法定12ヶ月点検として定めている点検項目はきちんと点検してくれますので、そういった面ではお任せしてもいいかと思います。

ただ、業者によって整備技術にばらつきがあるため、それによる点検結果の違い、点検にかかる時間などに違いが出ることがあります。

費用に関してもディーラーより少しですが安く済むので、点検としてはバランスの取れているといってもいいでしょう。
・点検の信頼性:標準
・点検にかかる時間:半日~1日程度
・点検費用(修理費用除く):8000円~5万円ぐらい

●ガソリンスタンド

そこそこの規模を持ったガソリンスタンドでも法定12ヶ月点検を受けることができます。

ただ、やはりガソリンスタンドはガソリンスタンドです。

法定12ヶ月点検の点検項目は一通りチェックしますが、そこで何か異常が見つかったとしても修理をすることができなかったり、できたとしてもやたらと時間がかかったり、費用が高くなったり、いい加減な作業をされたりといったことになりかねません。

はっきり言って整備や修理に関するスキルは低いので、法定12ヶ月点検をやったという自己満足を得たい方であればおすすめできるかと思います。
・点検の信頼性:低い
・点検にかかる時間:半日~1日程度
・点検費用(修理費用除く):5000円~2万円ぐらい

●カー用品店

オートバックスやイエローハットのような規模が大きく、車検なども請け負っているカー用品店であれば、たいがいのところで法定12ヶ月点検を受けることができます。

整備の信頼性や費用的な部分はガソリンスタンドでの法定12ヶ月点検と同じようなものですが、スピーディーさをうたったサービスが多いことから点検時間が短くて済むことが多いようです。

点検時に見つかった故障や不具合箇所の修理は、店舗で売られている商品を購入して取り付けて直る程度であればできますが、複雑な修理はできませんので、そういった故障が見つかった場合は改めてディーラーや整備工場などに出向かなければなりません。
・点検の信頼性:低い
・点検にかかる時間:2,3時間~半日程度
・点検費用(修理費用除く):5000円~2万円ぐらい

車の法定12ヶ月点検。近くて、安くて、アメックスが使えるとこ、オートバックスとなった。費用は7500円+部品代とのこと。11日10時に行こう。

— 清水英夫 (@kumoyu143) 2016年1月9日

MINIの法定12ヶ月点検の案内が来てるけど、これってディーラーよりオートバックスでやってもらったほうが安く済むんだろうな。

— lefty_0909 (@lefty_0909) 2011年3月8日

 

●DIY

法定12ヶ月点検は、点検項目をチェックできる人間であれば、何も整備士の資格を持った人間でなくても行うことができることですので、整備の腕や知識があれば素人のDIYでも行うことができます。

ただ、点検項目のひとつとして、「排気ガスの濃度チェック」が含まれており、それには専用のテスターが必要となりますので、その部分をどうするかということで費用と手間が変わってきます。

基本的は排気ガスの濃度チェック以外は自分でやり、排気ガスの濃度チェックだけどこかにお願いするという形になります。

排気ガスの濃度チェックは一般の整備工場などでもやってくれますが、若干費用が高くつくため、できれば車検場の近くにたくさんある通称「テスター屋」でやってもらうといいでしょう。

こういったところであればだいたい2000円から3000円ぐらいで排気ガスの濃度チェックをしてくれますので、10万円も出してテスターを買うより、5000円も出して一般の整備工場でやってもらうよりは安く上がります。

DIYですのでそれ以外の点検でお金がかかることはないので費用的にはこの排気ガスの濃度チェックにかかった費用だけとなります。

それと点検整備済みステッカーですが、こちらは点検をしたからといってどこかでもらえたり買うことができるものではありませんので、貼ることはできません。
・点検の信頼性:低い~高い(整備の技量次第)
・点検にかかる時間:1時間~1日程度(整備の技量次第)
・点検費用(修理費用除く):2000円~10万円ぐらい(テスターの購入費)

 

まとめ~一応義務ですから・・・

法定12ヶ月点検は法律で義務化されていることですので、こういう場所では「法定12ヶ月点検は必ず受けましょう!」というのが妥当なのでしょう。

しかしまぁ、実際の話、法定12ヶ月点検を受けなくても罰せられることはありませんし、金銭的な損もない、例え法定12ヶ月点検を行っていない状態で故障が起こったとしても、果たして法定12ヶ月点検をしていたから防げたのかも定かではありません。

要するにやるだけ無駄かと思うわけです。

ただ、それでも自分の車の健康状態を知りたいというのであれば、自分の整備に対する技量、知識、経済面などから考えて、ディーラーないし、整備工場、修理工場で受けるといいかもしれません。


車の買い替えや処分を考える時は、あらかじめ自車の査定を忘れずに👇
👇👇

 

-修理と買い替えのQ&A
-